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2011.05.20 Friday

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馬子にも衣装と言うけれど(FORTUNE ARTERIAL 桐葉SS)

2010.12.24 Friday 01:53
 更新が遅くなってしまい申し訳ないです。
 その分、次回は短期間でUPする予定です。


JUGEMテーマ:ゲーム






「どうしたの、そわそわして」
 隣を歩いていた桐葉が急に立ち止まり、俺の顔を見上げた。
 本人の言い分によると、悠木姉妹に連れ出されて「無理矢理買わされた」とかいう明るい色のワンピース。フリルをあしらった可愛らしいデザインは明らかにミスマッチなのだが、ここまで顔立ちが整っていると細かい事は関係ないらしい。実によく似合っている。普段の切れ味鋭い美人っぷりが緩和されて、丁度よく可愛らしさと美しさが同居しているのだった。
 今日はそのお披露目を兼ねたデートで、話だけを聞かされて一週間も御預けを食らっていた俺は大いに舞い上がったものだが、それも最初だけである。
 問題は本日の空模様だ。晴れているものの、いわゆる春一番が猛烈に吹き荒れている。
「よりによってこんな風の強い日に、そんなヒラヒラしたスカートをだな……」
 俺が渋い顔で言うと、桐葉はわざとらしく首を傾げる。服装と相まって可愛らしい仕草だが、騙されてはいけない。もちろん、彼女が性的な事にはやや無頓着なのは確かだが、故意にこういう反応を見せる事もあるのだ。
 付き合い始めた当初は分からなかった(というより見せなかった)が、面白がるような言動や態度を見せる時、桐葉は見た目澄ましつつも切れ長の瞳を普段より僅かに大きく開くのだ。相手の一挙一動を一瞬でも見逃したくないとでも言うように。百年単位で否応無く続けてきた人間観察が、そのまま趣味になったのかも知れなかった。
 俺や瑛里華会長、それに白ちゃんを相手にする時くらいしか見せない反応。それを見分けられる事が特別な事に思えて嬉しい、と桐葉にもつい話してしまった事があるが、それでも気にせず見せる辺りはいかにも彼女らしい。良い意味でのマイペース振りである。
 そして今見せる反応も実に彼女らしく、艶やかな黒髪の間から俺の顔を覗き見上げて、ただただ無言で俺の言葉の続きを待っている。
 素直に言わなければ許してくれないらしい。
「俺の目を楽しませてくれるのは結構だが、他の連中にまでお裾分けしてやる必要は無いだろ」
 諦めて正直に白状すると、桐葉は満足そうに密やかな笑みを零した。
「もちろん、そんなサービス精神は持ち合わせていないわ」
「じゃあ延期するか? どこかで違う服でも買って――」
 この際だ、プレゼントということにしてもいい。そう続けようとした時、強烈なデコピンを食らった。
「いてっ。なにするんだ。洒落にならんだろ」
 あまりの衝撃に涙目で抗議するが、腕を組んで佇む桐葉はそんな言葉は意に介さず、逆に睨む一歩手前の視線を向けられた。
「手加減はしたわ。……それにしても貴方、見ているようで見てないのね」
 今度は俺が首を傾げる番だった。
「強風の中、生地の軽いスカートは確かに危なそうだけど……。それは人間なら、という話よ」
 論より証拠、とばかりに桐葉は空を見上げた。
 ――彼女は機械音痴である。それはパソコンや携帯電話などの先進機器に限らず、ラジオやテレビも例外ではない。となると天気予報は見ないのか、という話になる。新聞という手もあるが、実際にお世話になっているのは『これ』らしい。
 空を見て、風の匂いを嗅ぐ。それだけで一日の天気は九割方当てる。最近では俺も、テレビの天気予報より桐葉が傘を持っているかどうかで判断しているくらいだ。
 人を超えた鋭敏すぎる感覚を持ち、そのまま数百年も生きたお陰だろう。どうやら風の吹くタイミングすら分かるらしい。
「……くるわ」
 言ったきっちり一秒後、身体が半歩ズレるくらいの強風に襲われた。よろめきつつも何とかその場に立って堪えつつ、視線は桐葉から離さない俺の目の前で、スカートの裾が激しく揺れた。
 揺れて――それだけだ。
 風はすぐに止んで、そこには風の吹く前と全く変わらない、髪も服も一切乱れて居ない桐葉の姿。
「ね。大丈夫でしょう?」
「ちょっとまて。お前は今、ナニヲシタ?」
「さあ?」
 惚けられても、クセを確認するまでもなく答えは分かりきっていた。この程度、今更騙される筈も無い。
「人前で眷属パワー使うなよ」
 無理矢理抱き寄せ、耳のすぐ近くで囁く。桐葉の耳が真っ赤になった。
「い、いいでしょう、別に。誰にも見えるわけが無いわ」
 目を逸らしながら反論。言葉にいつものような力が感じられない。非があるのは認めているらしい。この際だから念を押しておく事にした。
「何かあったらどうするんだ」
「この服、あなたは喜んでくれないのね」
 言いながら僅かに唇を尖らせる。勝ち目無しと見たか、情に訴えるつもりらしい。
「いや拗ねられても」
「それに、帰るまで自重しろというなら……どうなるかは分かっているのよね?」
「む……」
 これからも風は吹き、スカートはそのままで、その超常パワーを使えないとすると。……非常に好ましくない映像が、多くの通行人の脳裏に焼きつくことが予想される。それはさすがに容認出来ない。
 いや、無用なリスクを負うのも、やはりNGだ。彼女の身の安全は最も重視すべきであってだな。とはいえ怪我すると傷口の再生を衆目に晒すからと体育の授業さえ無理はしない方針の彼女がこれほどのリスクを背負ってまで俺だけの為に――。
 そんな感じで悩んでいる最中、またも強い風が吹いた。
「……っ!?」
 スカートの裾が翻り、その、なんというか、あれだ。
 ともかく焦って抑えた桐葉だったが、周囲への注意力が散漫になっていたのだろう。今回に限り、それは間に合っていなかった。俺も、意識するまでも無くしっかりその光景を脳裏に焼き付ける。
 焦って周囲を見渡すと、どうやら気付いた野郎は居なかったらしい。時間差があっても絶対間抜け面晒しているはずだから、これはもう間違いない。加えて不幸中の幸いだったのは、桐葉が『極めて人間らしく』スカートを抑えながら顔を真っ赤にしていること。既に捲くれているものを文字通りの『目にも止まらぬ』速さで戻す訳にはいかず、これが精一杯だったらしい。
 極めて希少な、そして素晴らしい光景だった。
「……着替えるわ」
 敗北感を滲ませながら、桐葉は搾り出す様にそう言った。
「そうだな。早く店に行こう。スカートでさえなければ、何でも好きなものをプレゼントするよ」
 お礼の意味も籠めて、という言葉は飲み込んでおく。
「遠慮なく。楽しめた様だから、そのお礼だと思ってせいぜい高いものを選ばせてもらうわ」
「どうして分かるんだ、そんなこと」
「顔、にやけ過ぎよ」
 桐葉はそれだけ言い残し、さっさと歩いて行ってしまった。
 颯爽とした彼女に、俺はどうしても戻ってくれない顔面を捏ね繰り回しながら後に続いた。
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2011.05.20 Friday 01:53
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コメント

女は 男の所有物ではない。しかし そこに 愛があるならば 男の気持ちを わかるのが 愛の証。
別に 男が 女を束縛するわけでもない。ただ 好きな女をさらし者に 見せ物にしたくないだけなんだ。その女が好きだから ほかの女が 風で スカートがヒルガエリ かわいいパンティーが 見えても 関係ないといえば 関係ないが
楽しんだ分 ラッキーかなぁ。それが 肉親 知り合いだと悲しいのかなぁ
| 謎の三文字☆村石太ちゃんマン | 2010/12/24 4:52 PM |
 妙に深い話に……。(汗
 今回の話に限って言えば案外桐葉は気にしているのかいないのかわからない、という前回のSS『彼女の認識(FORTUNE ARTERIAL 桐葉SS)』も合わせて読んで貰えると面白いかも知れません。
| マク | 2010/12/26 1:06 AM |
 桐葉、可愛いなあ。
 強風が来るのを察知し、眷属パワーで事なき終える桐葉も。
 孝平に注意されて、微妙にすねて、急に来た強風を眷属パワー無しで慌てて風に対抗する桐葉も。
 そんな桐葉らしさが可愛いと思いました。
 あと悩んでる孝平、面白いな。
| やくす | 2011/02/11 1:29 AM |

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